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>>「力学」の平原

惑星の運動3

 

クエスト概要

ケプラーの第3法則が成り立つことを運動方程式から導きます。

 

クエスト発生条件

惑星の運動2」をクリア後に選択可能になります。

 

攻略法

 ケプラーの第3法則(調和法則)とは「惑星の公転周期 \( T \) の2乗と軌道の長半径 \( a \) の3乗は比例関係にある」というものです。 それは次のように表せます。

\[ T^2 \ =\ k \, a^3 \tag{1} \]

 周期 \( T \) は惑星軌道の楕円の面積 \( S \) を面積速度 \( D \) で割れば得られますので、まずは楕円の面積を求めてみましょう。 楕円の面積は、長半径 \( a \) と短半径 \( b \) を使って次のように表せます。

\[ S \ =\ \pi \, a\,b \tag{2} \]

 すでに求めた惑星軌道の楕円の式は次のようなものでした。(「惑星の運動」の(30)式を参照)

\[ r \ =\ \frac{l}{1+\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)} \tag{3} \]

 \( \delta \) は楕円の軸の向きを決めるためのものですが、簡単にするために \( \delta = 0 \) としておきましょう。 それぞれの長さの関係は次の図のようになっています。

ellipse.png

 長半径 \( a \) や短半径 \( b \) は次のように表すことができます。

\[ \begin{align*} a \ &=\ \frac{l}{1-\varepsilon^2} \tag{4} \\[3pt] b \ &=\ \frac{l}{\sqrt{1-\varepsilon^2}} \tag{5} \end{align*} \]

 これらは楕円の基本的な性質を知っていれば比較的簡単な計算で得ることが出来ますので説明を省略します。 これらを使うことにより楕円の面積は次のように計算できます。

\[ \begin{align*} S \ &=\ \pi \, \frac{l}{1-\varepsilon^2} \, \frac{l}{\sqrt{1-\varepsilon^2}} \\[3pt] &=\ \frac{\pi\,l^2}{ (1-\varepsilon^2)^{3/2}} \tag{6} \end{align*} \]

 これを面積速度 \( D \) で割ったものが周期 \( T \) となります。

\[ T \ =\ \frac{\pi\,l^2}{ D(1-\varepsilon^2)^{3/2}} \tag{7} \]

 (1) 式に近付けるため、この両辺を 2 乗してみます。

\[ \begin{align*} T^2 \ &=\ \frac{\pi^2 \,l^4}{ D^2 \, (1-\varepsilon^2)^3} \\[3pt] &=\ \frac{\pi^2 \,l}{D^2} \, \frac{l^3}{(1-\varepsilon^2)^3} \\[3pt] &=\ \frac{\pi^2 \,l}{D^2} \, a^3 \tag{8} \end{align*} \]

 意外にあっさりと (1) 式に似た形になってくれたのですが、安心してはいけません。 まだ (1) 式の比例定数 \( k \) に相当する部分である \( \pi^2 l/D^2 \) が定数であるという保証がないからです。 惑星によって軌道の大きさが違いますから \( l \) の値は定数ではありませんし、面積速度 \( D \) が一定だというのも一つの惑星だけで成り立つ話ですから、惑星ごとに値が違っている可能性があります。 ケプラーの第3法則の通りであれば、\( l \) と \( D^2 \) が比例関係にあることが証明できるはずです。

 そのために元の運動方程式にまでさかのぼってみましょう。 ニュートンの運動方程式を極座標に変換すると次のようになるのでした。(「惑星の運動」の(14)(15)式を参照)

\[ \begin{align*} m\,\left( \ddot{r} \ -\ r\,\dot{\theta}^2 \right) \ &=\ - |f(r)| \tag{9} \\[3pt] m\,\left( 2\,\dot{r}\,\dot{\theta} \ +\ r\,\ddot{\theta} \right) \ &=\ 0 \tag{10} \end{align*} \]

 この内、(10) 式の方はまさに面積速度一定の法則を表していて、式変形した上で係数を補って正確に書いてやると次のようになるのでした。(「惑星の運動2」を参照)

\[ D \ =\ \frac{1}{2} r^2 \dot{\theta} \tag{11} \]

 この式を

\[ \dot{\theta} \ =\ \frac{2D}{r^2} \tag{12} \]

と書き直して (9) 式に代入すると次のようになります。

\[ m\, \left( \ddot{r} \ -\ \frac{4\,D^2}{r^3} \right) \ =\ - |f(r)| \tag{13} \]

 この右辺の \( -|f(r)| \) というのは今は太陽による万有引力を表していますから、次のように書けます。

\[ \begin{align*} m\,\left(\ddot{r} \ -\ \frac{4\,D^2}{r^3} \right) \ &=\ - G\frac{M\,m}{r^2} \\[3pt] \therefore\ \ddot{r} \ -\ \frac{4\,D^2}{r^3} \ &=\ - \frac{GM}{r^2} \tag{14} \end{align*} \]

 あとは、この \( r \) のところに (3) 式を代入してやれば \( D \) と \( l \) の関係が作れるかもしれません。 (14) 式には \( r \) の 2 階微分が出てきますから (3) 式を微分してみましょう。 まずは 1 階微分からです。

\[ \begin{align*} \dot{r} \ &=\ \frac{l\,\varepsilon\,\sin(\theta+\delta)}{\Big(1+\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)\Big)^2} \, \dot{\theta} \\[3pt] &=\ \frac{l\,\varepsilon\,\sin(\theta+\delta)}{\Big(1+\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)\Big)^2} \, \frac{2\,D}{r^2} \\[3pt] &=\ \frac{l\,\varepsilon\,\sin(\theta+\delta)}{\Big(1+\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)\Big)^2} \, (2\,D) \frac{\Big(1+\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)\Big)^2}{l^2} \\[3pt] &=\ \frac{2\,D\,\varepsilon\,\sin(\theta+\delta)}{l} \tag{15} \end{align*} \]

 もう一度微分します。

\[ \begin{align*} \ddot{r} \ &=\ \frac{2\,D\,\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)}{l} \, \dot{\theta} \\[5pt] &=\ \frac{2\,D\,\varepsilon\,\cos(\theta+\delta)}{l} \, \frac{2D}{r^2} \\[5pt] &=\ \frac{4\,D^2\,\varepsilon}{r^2\,l} \,\cos(\theta+\delta) \\[5pt] &=\ \frac{4\,D^2\,\varepsilon}{r^2\,l} \,\frac{l-r}{r\,\varepsilon} \\[5pt] &=\ \frac{4\,D^2\,(l-r)}{r^3\,l} \\[5pt] &=\ \frac{4\,D^2}{r^3} \ -\ \frac{4\,D^2}{r^2\,l} \tag{16} \end{align*} \]

 準備が出来たのでこの結果を (14) 式に代入します。

\[ \require{cancel} \begin{align*} &\cancel{\frac{4\,D^2}{r^3}} \ -\ \frac{4\,D^2}{r^2\,l} \ -\ \cancel{\frac{4\,D^2}{r^3}} \ &=\ - \frac{GM}{r^2} \\[3pt] \therefore\ &-\ \frac{4\,D^2}{r^2\,l} \ =\ - \frac{GM}{r^2} \\[3pt] \therefore\ &4\,D^2 \ =\ GM\,l \tag{17} \end{align*} \]

 まさに望んでいた通りのものが得られました。 これで \( D^2 \) と \( l \) は比例していることが分かりました。 この結果を (8) 式に代入してやると、

\[ T^2 \ =\ \frac{4\pi^2}{GM} \, a^3 \tag{18} \]

となり、\( M \) は太陽の質量なので、太陽系の惑星の運動はどれもケプラーの第3法則に従っていることがはっきりと分かります。

 

参考資料

(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載されているページ数など)

 

コメント



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Last-modified: 2019-08-15 (木) 13:16:24