>>「力学」の平原
仕事の概念も 3 次元空間に拡張してみることにしましょう。
仕事(その1)と保存力の両方をクリア後に選択可能になります。
物体の運動は \( (x,y,z) \) の成分に分けて 3 つの運動方程式を使って別々に論じることができるのでした。 よって、「仕事によって運動エネルギーが増減することを表す式」についても 3 つの成分についてそれぞれ同じような関係が成り立っていることが言えます。(「仕事(その1)」を参照)
\[ \begin{align*} \diff \left( \frac{1}{2} m\,v_x^2 \right) \ &=\ F_x \, \diff x \\ \diff \left( \frac{1}{2} m\,v_y^2 \right) \ &=\ F_y \, \diff y \tag{1} \\ \diff \left( \frac{1}{2} m\,v_z^2 \right) \ &=\ F_z \, \diff z \\ \end{align*} \]
これらを足し合わせると次の関係があることが分かります。
\[ \diff \left( \frac{1}{2} m\,(v_x^2 + v_y^2 + v_z^2) \right) \ =\ F_x \, \diff x \ +\ F_y \, \diff y \ +\ F_z \, \diff z \tag{2} \]
「保存力」について学んだ時に、位置エネルギーは各成分ごとに独立したものではなく合計したものこそが意味を持つという話をしました。 位置エネルギーと運動エネルギーはお互いにやり取りをして一定値を保っていますから、運動エネルギーについても各成分ごとに分けて考えることにあまり意味はなく、合計したものだけが意味を持つと考えるべきでしょう。 物体の速度の各成分 \( (v_x, v_y, v_z) \) と物体の速さ \( v \) との間には
\[ v^2 \ =\ v_x^2 + v_y^2 + v_z^2 \tag{3} \]
という関係がありますから、各成分に分けて考えていた運動エネルギーの合計値は物体の速さ \( v \) だけで決まるものであることが分かります。 今後は「運動エネルギーの合計値」などという言い方はせず、次のようにして計算される量こそが唯一の運動エネルギー\( K \) だと考えることにします。
\[ K \ =\ \frac{1}{2} mv^2 \ =\ \frac{1}{2} m\,(v_x^2 + v_y^2 + v_z^2) \tag{4} \]
この考えを取り入れると、(2) 式は次のように表現できます。
\[ \diff K \ =\ F_x \, \diff x \ +\ F_y \, \diff y \ +\ F_z \, \diff z \tag{5} \]
次にこの (5) 式の右辺について考えてみましょう。 物体の微小移動量をベクトルとしてとらえ、次のような記号で表すことにします。
\[ \diff \Vec{s} \ =\ (\diff x, \diff y, \diff z \,) \tag{6} \]
すると、(5) 式の右辺は力を表すベクトル \( \Vec{F} \) と微小移動量を表すベクトル \( \diff \Vec{s} \) との内積を計算したのと同じ形になっていますから次のように表せます。
\[ \diff K \ =\ \Vec{F} \cdot \diff \Vec{s} \tag{7} \]
これを解釈してやると、「力が掛かっている方向に向かって移動した分だけが仕事として寄与し、物体の運動エネルギーを増加させる」ということになります。
(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載されているページ数など)