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(ただいま編集は制限させていただいております)





>>「力学」の平原

仕事(その1)

 

クエスト概要

 力学の重要な概念である「仕事」を手に入れます。

 

クエスト発生条件

エネルギー保存則を導くをクリア後に選択可能になります。

 

攻略法

 エネルギー保存則を導くのところで導いた式は力 \( F \) が物体の位置のみによって決まるという条件付きで成り立つものでした。 そのような仮定が入ってしまわないように気を付けながら、前と似た計算をしてみましょう。

 まずニュートンの運動方程式を用意します。

\[ m \dif{v}{t} \ =\ F \tag{1} \]

 この両辺に速度 \( v \) を掛けてやります。

\[ m \, v \, \dif{v}{t} \ =\ F \, v \tag{2} \]

 この両辺を時間 \( t \) で積分してやると以前と同じ結果になってしまいますから、積分しないで変形してみます。 (2) 式の両辺をそれぞれ書き換えて次のような等式が作れます。

\[ \dif{}{t} \left( \frac{1}{2} m\,v^2 \right) \ =\ F\, \dif{x}{t} \tag{3} \]

 この左辺のカッコ内にあるのは運動エネルギーです。 無限小時間 \( \diff t \) の間の「運動エネルギーの無限小変化」が \( \diff(\frac{1}{2}mv^2) \) です。 左辺は微分の式ですが、そのような二つの量の比を表していると解釈することもできるわけです。 そこで両辺に無限小時間 \( \diff t \) を掛けてやることにすれば次のような関係があることが導かれます。

\[ \diff \left( \frac{1}{2} m\,v^2 \right) \ =\ F\, \diff x \tag{4} \]

 物体に力 \( F \) が加えられている状況で微小距離 \( \diff x \) だけ動いたとき、運動エネルギーは \( F \diff x \) だけ増加することが表されています。 これは力が場所によって決まるかどうかに関係なく成り立つ話です。 このように「力と移動距離の積」には重要な意味がありそうだというので、この量を「仕事」と名付けることにします。 仕事の単位は \( [\mathrm{J}] \) (ジュール)で表されます。

 物体が 1 \( [\mathrm{N}] \) の力を掛けられた状態で力の方向に 1 \( [\mathrm{m}] \) 移動したときの仕事を 1 \( [\mathrm{J}] \) と定義します。

 定義の方法はこれで問題ありませんが、現実には 1 m という距離を進んでいる途中でも力の大きさは刻々と変化することがあります。 そのような場合にも正しく計算するためには、力が変化しないままだと言えるほどの微小距離 \( \diff x \) を考えて、力 \( F \) との積を取り、微小仕事 \( \diff W \) を計算します。

\[ \diff W \ =\ F \diff x \tag{5} \]

 この微小仕事を少しずつ和を取っていくことで仕事の合計値を計算することになります。

\[ W \ =\ \int \diff W \tag{6} \]

 ところが (5) 式と (6) 式を組み合わせると、次のような式になってしまいます。

\[ W \ =\ \int F(x,v,t) \diff x \tag{7} \]

 力が位置 \( x \) のみで表されている場合には普通に積分が実行できるのであまり問題は起こらないのですが、そうでない場合には \( F(x,v,t) \) の中に含まれる色々な変数と \( x \) との関係を利用して、全体を \( x \) のみで表される関数に書き換えてやる必要が出てきます。 あるいは積分の変数を \( x \) 以外のものに変換してやるといった計算のテクニックが要ります。 しかしそれらを実行するにはすでに運動方程式が解かれていて運動の様子をよく把握している必要がありますし、式は複雑になってしまうことが多いでしょう。 いつでも簡単に計算で求められるとは限りませんが、仕事とはこのように表される概念です。

 先ほどの (4) 式では「仕事をされた物体」はその仕事と同じだけ運動エネルギーを増すことになっていますが、現実には速度が上がるとは限りません。 物体の運動方向とは反対向きに力が働いている場合には仕事はマイナスになりますので、運動エネルギーは下がり、速度も下がります。 あるいは物体が得た運動エネルギーは、すぐさま摩擦熱などの形で周囲のミクロな粒子の運動エネルギーとして次々と散逸してしまうようなことも起こります。 極端な場合には、いくら力を掛けて移動させたとしても、押すのをやめれば物体は静止したままということになります。 もしそのようなエネルギーの散逸がないとすれば、仕事は物体の運動エネルギーを増減させる量を表していると言えます。 それで、エネルギーの単位も仕事と同じく \( [\mathrm{J}] \) (ジュール)で表されます。

 仕事という概念を導入したお陰でエネルギーというものをイメージしやすくなりました。 どういう状況で物体にエネルギーが伝わるのかをはっきりさせることができたわけです。 しかし残念ながら、エネルギー保存則のような形の法則を新たに作ることはできないようです。

 

参考資料

(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載されているページ数など)

 

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Last-modified: 2019-07-24 (水) 16:42:18