物理 攻略 Wiki
物理を盛り上げるためのファンサイトです。
ネタバレありで行きますので、ネタバレを気にする方はご注意下さい。
(ただいま編集は制限させていただいております)
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開始行:
#mathjax
>>[[「力学」の平原]]
*振り子の運動
#br
**クエスト概要
糸に繋がれて揺れる物体の運動を計算で求めます。~
もっと簡単に解く方法もありますが、事前知識が必要なので基...
#br
**クエスト発生条件
[[円運動]]をクリア後に選択可能になります。~
近似を使うところでは技「テイラー展開」を身に付けていると...
#br
**攻略法
糸で吊るされた物体が揺れる動きを運動方程式を使って解い...
糸の長さを \( l \) として、吊るされた物体の質量を \( m ...
話を単純化するために糸の質量は無視できるほど小さいと仮定...
糸の代わりに細い棒を考えても構いません。
物体に働く重力は下向きに \( mg \) ですが、
糸によって動きが制限されているので真下に落下していくこと...
糸に垂直な方向にだけ自由に動けるようになっています。
これは糸に掛かる張力 \( T \) が物体を引っ張っているためだ...
#ref(振り子の運動/pendulum.png,center)
この後の計算をなるべく簡単にするために、
今回は真下方向を \( x \) 座標の正の方向として、右方向を \...
図により、それぞれの方向に働く力は次のように表されること...
\[
\begin{align*}
F_x \ &=\ - T \, \cos \theta \ +\ mg \tag{1} \\[3pt]
F_y \ &=\ - T \, \sin \theta \tag{2}
\end{align*}
\]
つまり、解くべき方程式は次の 2 つです。
\[
\begin{align*}
m \ddif{x}{t} \ &=\ - T \, \cos \theta \ +\ mg \tag{3} \\...
m \ddif{y}{t} \ &=\ - T \, \sin \theta \tag{4}
\end{align*}
\]
さて、これらの方程式を解くにあたって問題点があります。
知りたいのは物体がどのように動くかですので、\( x(t) \) や...
しかし一つの式に 2 つ以上の未知関数が含まれるというのはと...
張力 \( T \) が具体的にどれくらいなのかも分からないままで...
もう少し状況を整理できないでしょうか。
よく考えてみれば、物体の位置を表す \( x(t) \) や \( y(t) ...
\[
\begin{align*}
x \ &=\ l \, \cos \theta \tag{5} \\[3pt]
y \ &=\ l \, \sin \theta \tag{6}
\end{align*}
\]
実は今回座標軸の向きを少し不自然に設定しているのはこの...
この関係式を使えば (3) 式や (4) 式から未知関数の数を減ら...
試してみましょう。
まず 1 階微分は次のように表されます。
\[
\begin{align*}
\dif{x}{t} \ &=\ - l \, \sin \theta \cdot \do...
\dif{y}{t} \ &=\ \hspace{12pt} l \, \cos \theta \cdot \do...
\end{align*}
\]
\( \theta \) の時間微分は上にドットを付けて \( \dot{\th...
さらにもう一度微分します。
2 階微分には 2 つのドットを付けることにします。
\[
\begin{align*}
\ddif{x}{t} \ &=\ - l \, \left( \phantom{-} \...
\ddif{y}{t} \ &=\ \hspace{12pt} l \, \left( - \...
\end{align*}
\]
この (9) 式と (10) 式を (3) 式と (4) 式にそれぞれ代入し...
\[
\begin{align*}
m\,l \, \big( \dot{\theta}^2 \cos \theta + \ddot{\theta} ...
m\,l \, \big( \dot{\theta}^2 \sin \theta - \ddot{\theta} ...
\end{align*}
\]
よく似た式が二つも出来てしまいました。
うまくやれば張力 \( T \) が消せそうです。
(11) 式の両辺に \( \sin \theta \) を掛けて、(12) 式の両辺...
\[ m\, l\, \ddot{\theta}\, \big(\, \sin^2 \theta + \cos^2...
これは思った以上の成果です。
さらに簡単になります。
\[ l\, \ddot{\theta} \ =\ - g \, \sin \theta \tag{14} \]
これは変数 \( \theta \) だけの方程式になっていますから...
しかし厳密解を求めるのは簡単ではないのでまた今度にしてお...
近似解ならば今すぐ簡単に求めることができます。
\( \theta \) がごく小さい時には次のような近似が成り立つと...
\[ \sin \theta \ \kinji \ \theta \tag{15} \]
これを使えば (14) 式は次のように書き換えられます。
\[ l\, \ddif{\theta}{t} \ =\ -g \, \theta \tag{16} \]
この式は[[ばねと単振動]]のところで解いた方程式と全く同...
使っている記号が異なるだけです。
以前に得た解を今回の方程式に合わせて記号の置き換えをする...
\[ \theta \ =\ A \sin \left( \sqrt{\frac{g}{l}} \, t \ +\...
これは物体が左右に一定の周期で揺れることを意味していま...
その周期は物体の質量には関係がなく、重力加速度が大きいほ...
しかもその周期は大きく揺らしても小さく揺らしても同じです。
これを「&color(red){振り子の等時性};」と呼びます。
振り子時計は、歯車を一定のタイミングで一つずつ進めるため...
&color(red){ただしこれは近似を使って計算した結果ですの...
小学校の理科の授業で児童に実験をさせてみると、かなり大き...
しかし「振り子の等時性」を厳密に成り立つ法則だと信じてし...
ご注意ください。
(最大振れ角を 45°くらいで揺らしたときには周期は近似解よ...
10 往復もさせると 40 % くらいずれるわけですから並べて観察...
ところで、途中で方程式から消してしまった張力 \( T \) の...
(11) 式の両辺に \( \cos \theta \) を掛けて、(12) 式の両辺...
\[ m\,l\,\dot{\theta}^2 \ =\ T \ -\ mg \, \cos \theta \ta...
\( \dot{\theta} \) というのは角速度 \( \omega \) のこと...
\[ T \ =\ mg \cos \theta \ +\ m\,l\,\omega^2 \tag{19} \]
右辺の第 1 項は物体に掛かる重力のうち、糸の方向を向いた...
第 2 項は物体を円運動させるのに必要な力である「向心力」と...
つまり、張力は物体に掛かる重力の一部を支えながら、さらに...
糸の立場に立ってみれば、わざわざ物体を円運動させようとし...
遠心力という言葉は日常用語としても良く使われますが、物...
それについてはまた別の機会に学ぶことにしましょう。
#br
**参考資料
(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載...
#br
**コメント
- 物体にはたらく重力の動径方向成分と糸の張力はつりあいま...
- ご指摘ありがとうございます。勘違いしていました。修正し...
- 修正して張力についても書き足しました。 -- EMAN &new{201...
- EMANさん、修正ありがとうございます。 もう1つ細かいこと...
- そこまで表現にこだわらなくてもいいのではないかと今のと...
- 単なる表現の問題ではなくて、今の書き方では論理的に変で...
- 運動方程式のθ成分が(13)式、-r成分が(18)式であることは述...
#comment
終了行:
#mathjax
>>[[「力学」の平原]]
*振り子の運動
#br
**クエスト概要
糸に繋がれて揺れる物体の運動を計算で求めます。~
もっと簡単に解く方法もありますが、事前知識が必要なので基...
#br
**クエスト発生条件
[[円運動]]をクリア後に選択可能になります。~
近似を使うところでは技「テイラー展開」を身に付けていると...
#br
**攻略法
糸で吊るされた物体が揺れる動きを運動方程式を使って解い...
糸の長さを \( l \) として、吊るされた物体の質量を \( m ...
話を単純化するために糸の質量は無視できるほど小さいと仮定...
糸の代わりに細い棒を考えても構いません。
物体に働く重力は下向きに \( mg \) ですが、
糸によって動きが制限されているので真下に落下していくこと...
糸に垂直な方向にだけ自由に動けるようになっています。
これは糸に掛かる張力 \( T \) が物体を引っ張っているためだ...
#ref(振り子の運動/pendulum.png,center)
この後の計算をなるべく簡単にするために、
今回は真下方向を \( x \) 座標の正の方向として、右方向を \...
図により、それぞれの方向に働く力は次のように表されること...
\[
\begin{align*}
F_x \ &=\ - T \, \cos \theta \ +\ mg \tag{1} \\[3pt]
F_y \ &=\ - T \, \sin \theta \tag{2}
\end{align*}
\]
つまり、解くべき方程式は次の 2 つです。
\[
\begin{align*}
m \ddif{x}{t} \ &=\ - T \, \cos \theta \ +\ mg \tag{3} \\...
m \ddif{y}{t} \ &=\ - T \, \sin \theta \tag{4}
\end{align*}
\]
さて、これらの方程式を解くにあたって問題点があります。
知りたいのは物体がどのように動くかですので、\( x(t) \) や...
しかし一つの式に 2 つ以上の未知関数が含まれるというのはと...
張力 \( T \) が具体的にどれくらいなのかも分からないままで...
もう少し状況を整理できないでしょうか。
よく考えてみれば、物体の位置を表す \( x(t) \) や \( y(t) ...
\[
\begin{align*}
x \ &=\ l \, \cos \theta \tag{5} \\[3pt]
y \ &=\ l \, \sin \theta \tag{6}
\end{align*}
\]
実は今回座標軸の向きを少し不自然に設定しているのはこの...
この関係式を使えば (3) 式や (4) 式から未知関数の数を減ら...
試してみましょう。
まず 1 階微分は次のように表されます。
\[
\begin{align*}
\dif{x}{t} \ &=\ - l \, \sin \theta \cdot \do...
\dif{y}{t} \ &=\ \hspace{12pt} l \, \cos \theta \cdot \do...
\end{align*}
\]
\( \theta \) の時間微分は上にドットを付けて \( \dot{\th...
さらにもう一度微分します。
2 階微分には 2 つのドットを付けることにします。
\[
\begin{align*}
\ddif{x}{t} \ &=\ - l \, \left( \phantom{-} \...
\ddif{y}{t} \ &=\ \hspace{12pt} l \, \left( - \...
\end{align*}
\]
この (9) 式と (10) 式を (3) 式と (4) 式にそれぞれ代入し...
\[
\begin{align*}
m\,l \, \big( \dot{\theta}^2 \cos \theta + \ddot{\theta} ...
m\,l \, \big( \dot{\theta}^2 \sin \theta - \ddot{\theta} ...
\end{align*}
\]
よく似た式が二つも出来てしまいました。
うまくやれば張力 \( T \) が消せそうです。
(11) 式の両辺に \( \sin \theta \) を掛けて、(12) 式の両辺...
\[ m\, l\, \ddot{\theta}\, \big(\, \sin^2 \theta + \cos^2...
これは思った以上の成果です。
さらに簡単になります。
\[ l\, \ddot{\theta} \ =\ - g \, \sin \theta \tag{14} \]
これは変数 \( \theta \) だけの方程式になっていますから...
しかし厳密解を求めるのは簡単ではないのでまた今度にしてお...
近似解ならば今すぐ簡単に求めることができます。
\( \theta \) がごく小さい時には次のような近似が成り立つと...
\[ \sin \theta \ \kinji \ \theta \tag{15} \]
これを使えば (14) 式は次のように書き換えられます。
\[ l\, \ddif{\theta}{t} \ =\ -g \, \theta \tag{16} \]
この式は[[ばねと単振動]]のところで解いた方程式と全く同...
使っている記号が異なるだけです。
以前に得た解を今回の方程式に合わせて記号の置き換えをする...
\[ \theta \ =\ A \sin \left( \sqrt{\frac{g}{l}} \, t \ +\...
これは物体が左右に一定の周期で揺れることを意味していま...
その周期は物体の質量には関係がなく、重力加速度が大きいほ...
しかもその周期は大きく揺らしても小さく揺らしても同じです。
これを「&color(red){振り子の等時性};」と呼びます。
振り子時計は、歯車を一定のタイミングで一つずつ進めるため...
&color(red){ただしこれは近似を使って計算した結果ですの...
小学校の理科の授業で児童に実験をさせてみると、かなり大き...
しかし「振り子の等時性」を厳密に成り立つ法則だと信じてし...
ご注意ください。
(最大振れ角を 45°くらいで揺らしたときには周期は近似解よ...
10 往復もさせると 40 % くらいずれるわけですから並べて観察...
ところで、途中で方程式から消してしまった張力 \( T \) の...
(11) 式の両辺に \( \cos \theta \) を掛けて、(12) 式の両辺...
\[ m\,l\,\dot{\theta}^2 \ =\ T \ -\ mg \, \cos \theta \ta...
\( \dot{\theta} \) というのは角速度 \( \omega \) のこと...
\[ T \ =\ mg \cos \theta \ +\ m\,l\,\omega^2 \tag{19} \]
右辺の第 1 項は物体に掛かる重力のうち、糸の方向を向いた...
第 2 項は物体を円運動させるのに必要な力である「向心力」と...
つまり、張力は物体に掛かる重力の一部を支えながら、さらに...
糸の立場に立ってみれば、わざわざ物体を円運動させようとし...
遠心力という言葉は日常用語としても良く使われますが、物...
それについてはまた別の機会に学ぶことにしましょう。
#br
**参考資料
(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載...
#br
**コメント
- 物体にはたらく重力の動径方向成分と糸の張力はつりあいま...
- ご指摘ありがとうございます。勘違いしていました。修正し...
- 修正して張力についても書き足しました。 -- EMAN &new{201...
- EMANさん、修正ありがとうございます。 もう1つ細かいこと...
- そこまで表現にこだわらなくてもいいのではないかと今のと...
- 単なる表現の問題ではなくて、今の書き方では論理的に変で...
- 運動方程式のθ成分が(13)式、-r成分が(18)式であることは述...
#comment
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