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#author("2019-06-24T18:04:06+00:00","default:EMAN","EMAN")
#author("2020-06-09T10:04:30+00:00","","")
#mathjax
>>[[「力学」の平原]]
*ばねと単振動
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**クエスト概要
ばねに繋がった物体の運動を考えます。
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**クエスト発生条件
[[自由落下]]をクリア後に選択可能になります。
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**攻略法
ばねを元々の自然な長さから長さ \( x \) だけ引き伸ばすと、\( x \) に比例した大きさの力で元に戻ろうとします。
逆に自然な長さから押し縮めたときにも、縮めた長さ \( x \) に比例した力で元に戻ろうとします。
伸縮させた方向と力の向きが逆なので、次のような一つの式で表現できます。
\[ F \ =\ -k x \tag{1} \]
\[ F \ =\ -k \, x \tag{1} \]
これを「&color(red){フックの法則};」と呼びます。
比例定数 \( k \) は「&color(red){ばね定数};」と呼ばれ、ばねの強さを表しています。
引き伸ばしたときにも押し縮めたときにも定数の値は同じになっています。
現実のばねではこの法則が厳密に成り立っているわけではありませんが、
変位 \( |x| \) が小さいうちはかなり正確に成り立ちます。
ちぎれるほどひどく引き伸ばした場合には明らかに成り立たなくなることは容易に想像できるでしょう。
なぜこのような法則が成り立っているかについては物質のミクロの構造から説明ができますが、今はまだやめておきましょう。
ばねのこのような性質を利用すれば、物体が重力に引かれる力を、ばねが伸びる長さとして測定できることになります。
ばねのこのような性質を利用すれば、物体が重力に引かれる力を、ばねが伸びる長さとして測定できることになります。
物体に掛かる重力とばねによる力の合力が 0 となって物体が静止している状況を考えると次のような式になります。
\[
\begin{align*}
\ -mg \ &=\ -k x \\
\therefore\ m \ &=\ \frac{k}{g} \,x \tag{2}
\ -&m \, g \ -k \, x =\ 0 \\
\therefore\ &x \ =\ -\frac{g}{k} \,m \tag{2}
\end{align*}
\]
物体の質量 \( m \) とばねの伸び \( x \) が比例関係にあると言えるわけです。
符号がマイナスになっているのは下向きに伸びることを表しています。
物体の質量 \( m \) とばねの伸び \( x \) が比例関係にあると言えますから、
均等な目盛りを付けておけば「ばねばかり」として使えるわけです。
また (1) 式をニュートンの運動方程式に代入すれば、
質量 \( m \) の物体をばねに繋いだときの物体の動きを計算で求めることができます。
\[ m \ddif{x}{t} \ =\ - k\,x \]
\[ m \ddif{x}{t} \ =\ - k\,x \tag{3} \]
物体をばねに繋いで吊るす場合にはこの右辺に重力の \( -mg \) を付ける必要がありますが、
それはあとで考えることにしましょう。
今回は式を簡単にしたいので、次の図のような状況を想定します。
物体をばねに繋いで吊るす場合にはこの右辺に重力を表す \( -mg \) を追加する必要がありますが、それはあとで考えることにしましょう。
今回はできる限り式を簡単にしておきたいので次の図のような状況を想定します。
#ref(ばねと単振動/spring.png)
#ref(ばねと単振動/spring.png,center)
摩擦のない筒状のケースの中で質量 \( m \) の物体が 1 つの方向だけに沿って自由に往復できる状態にしておき、ばねに物体の重力が掛からないようにするために横倒しに設置します。
(3) 式の解は次のように表せます。
\[ x \ =\ A \sin \left( \sqrt{\frac{k}{m}} \, t \right) \ +\ B \cos \left( \sqrt{\frac{k}{m}} \, t \right) \tag{4} \]
ただし \( A \) と \( B \) は任意定数です。
なぜこのような解になるのかについては (4) 式を (3) 式に代入してみて納得してもらうしかありません。
(微分方程式にはどんな場合にでも使える一定の解法というものがなく、このような発見的な解も珍しくありません。)
(4) 式は三角関数の合成の公式によって次のように書き換えることもできます。
\[ x \ =\ A \sin \left( \sqrt{\frac{k}{m}} \, t \ +\ \delta \right) \tag{5} \]
定数 \( A \) や 定数 \( \delta \) は \( t = 0 \) の時に物体が「どの位置にあるか」「どんな速度を持つか」という 2 つの初期条件によって決めてやることができます。
物体の速度は (4) 式や (5) 式を微分してやれば求まります。
ここでは (5) 式を微分した場合にどうなるかを書いておきます。
\[ v \ =\ A \sqrt{\frac{k}{m}} \ \cos \left( \sqrt{\frac{k}{m}} \, t \ +\ \delta \right) \tag{6} \]
(4) 式や (5) 式から分かるのは、物体が \( x=0 \) を中心にして定の振幅で振動するということです。
\( x=0 \) というのは、ばねが自然な長さになるような物体の位置のことです。
振幅は任意定数ですから、大きく揺れることも小さく揺れることも許されています。
つまり、最初に物体を小突いてやるなどして大きくも小さくも揺らしてやれますが、一度動き出させてしまえばその振幅はそのまま変化しません。
そして、振動の周期は \( k \) と \( m \) だけで決まってしまい、大きく揺らしても小さく揺らしても同じになります。
このような性質があるので、無重量でばねばかりが使いものにならない宇宙ステーション内では、振動の周期を測ることによって搭乗員たちの体重を測定したりします。
(5) 式のような形で表せる単純な揺れ方のことを「&color(red){単振動};」と呼びます。
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***豆知識
-コイルばねの歴史は意外と浅く、フックの時代の少し前辺りまでしかさかのぼれないようです。
-板ばねの利用は紀元前からありますが、ぜんまいばねは15世紀初め頃から使われ始めました。コイルばねはそれよりも後です。
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**参考資料
(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載されているページ数など)
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**コメント
- 物体に掛かる重力とばねによる力の合力の式が −mg−kx=0 となっていますが、上方向を正とした場合、ばねは下方向に引っ張られているので、-mg+kx=0となるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。 -- &new{2019-10-20 (日) 06:07:03};
- kx=-mgを移項すれば-mg-kx=0になるから、それだと間違いになるんじゃないですかね? -- &new{2020-06-09 (火) 19:04:30};
#comment