>>「力学」の平原
大変便利に使えるツールである「運動量保存則」を手に入れます。
これは運動の基本法則から自動的に導かれるものです。
運動の3法則をクリア後に選択可能になります。
質量と速度の積を「運動量」と呼びます。
\[ p \ =\ m \, v \]
このようなものを定義しておくと大変便利に使えます。 ニュートンの運動方程式を変形してやると、
\[ \begin{align*} F \ &=\ m \ddif{x}{t} \ =\ \dif{}{t} \left( m \dif{x}{t} \right) \ =\ \dif{}{t} (mv) \\ &= \dif{p}{t} \end{align*} \]
ですから、もし物体に力が働いていなければ「運動量の時間微分は 0」ということになり、 運動量は時間的に一定値のまま変化しないと言えます。 これだけだと当たり前すぎるのですが、 複数の物体が互いに力を及ぼし合う状況を考える時に真価を発揮します。
例えば 3 個の物体があったとします。 それぞれの質量を \( m\sub{1} \)、 \( m\sub{2} \)、 \( m\sub{3} \) とします。 物体 1 が物体 2 に及ぼす力を \( F\sub{12} \) などのように表すことにすると、 それぞれの物体の間に、\( F\sub{12}, F\sub{13},F\sub{21},F\sub{23},F\sub{31},F\sub{32} \) という力が働いていることになります。 それぞれの物体は他の 2 個の物体から力を受けていますから、それらの運動の様子は次の 3 つの方程式で表されます。
\[ \begin{align*} m\sub{1} \ddif{x\sub{1}}{t} \ =\ F\sub{21} + F\sub{31} \\[3pt] m\sub{2} \ddif{x\sub{2}}{t} \ =\ F\sub{12} + F\sub{32} \\[3pt] m\sub{3} \ddif{x\sub{3}}{t} \ =\ F\sub{13} + F\sub{23} \end{align*} \]
さて、運動の基本法則の一つである作用反作用の法則によると \( F\sub{12} = - F\sub{21} \) などが成り立っているので、 これらの 3 つの式の右辺を全部足せば 0 になってしまいます。 つまり、次のような関係式が作れます。
\[ m\sub{1} \ddif{x\sub{1}}{t} \ +\ m\sub{2} \ddif{x\sub{2}}{t} \ +\ m\sub{3} \ddif{x\sub{3}}{t} \ =\ 0 \]
これを変形すると、
\[ \dif{}{t} (m\sub{1} v\sub{1}) \ +\ \dif{}{t} (m\sub{1} v\sub{1}) \ +\ \dif{}{t} (m\sub{1} v\sub{1}) \ =\ 0 \]
となり、さらに次のようにまとめて書けます。
\[ \dif{}{t}( p\sub{1} + p\sub{2} + p\sub{3} ) \ =\ 0 \]
それぞれの物体の運動量を合計したものは時間が経過しても変化しないという意味です。 物体の数が幾つに増えても同じようなことが成り立っているはずです。
以上の話を簡潔にまとめるために専門用語を少し追加したいと思います。 考えている複数の物体の間で互いに働いている力のことを「内力」と呼び、 それ以外から働く力のことを「外力」と呼びます。 内力の合計は 0 だと言えるのでした。 さらに、次のようなことが言えるのでした。
「外力が働いていなければ、運動量の合計は時間的に一定である」
これを「運動量保存則」と呼びます。
この法則は色々な場面で使えます。 外力がないときの運動量の合計の変化が 0 なのですから、 例えば二つの物体が衝突したときのそれぞれの物体の運動量の変化量の間には次の関係があると言えます。
\[ \Delta p\sub{1} \ =\ - \Delta p\sub{2} \]
元々の運動量の合計が 0 だった場合はもっと簡単で、 衝突後にはそれぞれの運動量の間には次の関係が成り立っていると言えます。
\[ p\sub{1} \ =\ - p\sub{2} \]
複数の物体の衝突過程で起きる複雑な運動を具体的に考えなくても、 全体に起きた最終結果だけを知ることができるというわけです。
(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載されているページ数など)