>>「力学」の平原
地面に穴を掘って地球の裏側までのトンネルを作って飛び込んだらどうなるかという問題です。
ちなみに、日本の反対側はアルゼンチンの東の海で、ブラジルには着けないそうですよ。
「天体は質点とみなせる」と「ばねと単振動」の両方をクリア後に選択可能になります。
地球の中心から距離 r の地点にいるときには、中心から半径 r の球内にある質量だけから力を受けるという結果を得ました。 仮に地球の密度 ρ が中心まで均一だとすると、 穴を降下するに従って r が小さくなり、地球の質量が 43πr3ρ のようにどんどん小さくなっていくように感じるはずです。 ところが引力は距離の 2 乗に反比例するので、中心に近付くほど大きくなっていきます。 距離の 3 乗で小さくなっていく質量と、距離の 2 乗で大きくなっていく引力の勝負といったところですが、 結局は中心からの距離に比例した力を受けることになります。
F = −Gmr243πr3ρ= −Gmr243πr3M43πR3= −mGMR2rR= −mgrR= −mgRr
ここで、g は地球表面の重力加速度で、R は地球の半径です。 いずれも定数です。 中心からの距離に比例した引力というのはばねの運動と全く同じで、トンネルに飛び込んだ人は一定周期で往復することになります。 解くべき方程式は次のようになります。
md2rdt2 = −mgRr∴
これを解くと、
r \ =\ A \sin \left( \sqrt{\frac{g}{R}} t \right) + B \cos \left( \sqrt{\frac{g}{R}} t \right) \tag{3}
となりますが、 t=0 のときに地球表面 r = R にいて初速 が 0 だという条件を当てはめると
r \ =\ R \cos \left( \sqrt{\frac{g}{R}} t \right) \tag{4}
という式になります。 地球の反対側へたどり着くのは
\sqrt{\frac{g}{R}} t \ =\ \pi \tag{5}
となるときですから、
t \ =\ \pi \sqrt{\frac{R}{g}} \ \kinji\ 3.14 \times \sqrt{\frac{6400 \times 10^3}{9.8}} \ \kinji\ 2500 \,[s] \tag{6}
となり、約 42 分の旅だということが分かります。
ここでは地球の密度が一定だという大雑把な仮定で計算しましたが、もっと現実的な値を使って計算してみても 38 分くらいになって、それほど大きくは違っていません。 トンネル内の地球表層近くにいるときにはまだあまり速度が出ていないのでその辺りに長くとどまりますが、 その辺りでは密度がどうなっていようともほぼ地球全体の質量が効いてくるので、あまり違いが出ません。 勢いよく通り過ぎる中心付近では実際にはかなり密度が高くなっていますが、中心付近なので体積も小さめで、質量はそれほど大きくならず、やはり誤差が出にくくなっています。
(要編集:ヒントが載っている魔導書ページへのリンク、記載されているページ数など)